護衛さんの片割れ、苦労人のほうのダニエルくんとシャルくんは仕事柄、付き合いも長く仲もいいです。
というか、組織の中でもダニエルくんは面倒見がいいので同じ支部にいた子はだいたい彼を慕って尊敬しているような先輩なのですが、ダニエルくんは自己評価が常に低い(シャルくんより低い)ので、全然知らないです。
同期に優秀な子が多かった世代なのと、エリックくんの面倒を見れたのが彼だけなので常に振り回され一緒に怒られていたので、ボスくんに次の護衛係を命じられたときにキョトンとしていたくらい。今も、エリックくんがいなかったらここで働いてないんだろうなーとかふと思ってたりします。そんなことで選ぶような性格じゃないんですけどね、ボスくんは。
まあそんなわけで、シャルくんは自分と似たような悪癖持ちながら面倒見もよく苦労ばかりしているダニエルくんによく懐いているので甘えたくなっちゃうんですよねっていう感じのお話。
えってぃお話なので、もうすこしスクロールお願いします。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「あー……疲れちゃったなぁ」
ようやく片付いた仕事の山に、ボクは腕をぐうと上に持ち上げ、そのまま左右に体を倒しながら息を吐く。
机の上には、眠気覚ましと体の疲労感を誤魔化すためのコーヒー、栄養剤、薬の瓶。
この三日の間、頭を働かせ続け平常時と同じポテンシャルをどうにか保ち、締め日を引き延ばすための相棒たちが、まだ眠らないのかと呆れた顔をしてボクをみている。
ボクだって寝たい。今すぐふかふかのお布団にダイブして、四日ぐらい眠り続けたい。
ああでもその前にお風呂入らなくちゃ、とか。歯磨きもしたい、とか。服だって取り替えたいし、とか。気持ちよく眠るために済ませたい様々なことが脳裏を駆け抜けていく。
にぶく響く頭の痛みは強烈にボクをベッドへと誘うが、その誘惑を振り払って洗面所に向かおうと立ち上がる。こつん、と手に何かが触れ、床に落ちる。
なんだろうと拾い上げ、そのラベルを見てドッと肩に疲労が乗る。そういや、新しい試薬が届いていたんだった。すっかり忘れていた。
一度は片付け終わったと思った仕事が実は残っていたという事実は、最初に総数を確認したときより重く体に負担がのし掛かるもの。
疲労って死と似た形をしているよなあと思いながら、ボクは拾った小瓶の蓋をひねり口内へ流し込む。
今から被検体の調整をするのも手間だし、自分で確認しがてらぱっと溜まったものを処理できれば、それはそれで都合がいい。
ボクって効率いいな~などと軽やかな足取りと同じぐらい軽薄なボクの考えを、止めてくれる人などこの部屋にいるはずもなく。ちょうどお風呂を出て、パジャマに着替えた頃にボクは泣きを見るのであった。
そんな折り。
「シャルロット、入るぞ」
救世主現る。
「ふぇぇぇえええんダニエルさぁぁん……!」
「な、なんだ?どうした」
進捗を受け取りに来たであろうダニエルさんに、タックルを仕掛ける勢いで抱きつくが彼はよろめく様子もなく受け止めてくれる。
バートだったらすっ飛んでいたろうし、ヴィーくんであれば面倒くさそうに押し返されるだろうに、この人は優しいんだよなぁと頬をすり寄せて、ボクがいかに今苦労しているかを切々と語る。
「聞いてくださぁい……ボク、三日三晩ずうっとお仕事頑張っててぇ……」
「ああうん、徹夜続きなんだってな」
「そうなんですぅぅ。それで、やっと。やあぁ……っと終わったと思ったら、見つけちゃったんです。残ってた仕事」
「あー……うん。それはなんだ。嫌だな」
「でしょう!?ダニエルさんはやっぱり、わかってくれますよね」
すんすんと鼻を鳴らし、頬をぐいぐいと擦りつけながら全身を使ってダニエルさんの体を押していく。
ぐいぐい。ぐいぐい。
気がつかないものかなぁ。気がつかないものか。
「ボクもう辛くって辛くって。慰めてほしいんです……」
ぐ、と力を込めれば、ダニエルさんもようやく自分が追い込まれていることに気がついたらしい。
あ。と小さな声が上がったけれどもう遅い。
ダニエルさんは身内に甘いところが致命的な弱みで、敬愛すべき長所だ。
どさりと重さのあるものが布に沈み込む音がして、ボクの視線の先ではダニエルさんの瞳がわずかな動揺を浮かべ、それでいてボクの動向をつぶさに観察している。どこでボクを押しのけようか、そのうえで怪我をさせないで済むか機会を伺っているのだろう。
「ね?ボクのこと、助けてくれますよね?」
「…………いや、俺は薬を受け取りに来ただけで……すぐ戻らないとならないし……っ、おい」
「もう、わかってるくせに。焦らしているんですか?ダニエルさんはボクの機嫌をとらなくっちゃ。どんどん時間が過ぎちゃいますよ?」
手のひらを押しつけるようにして、ダニエルさんのズボンの合わせ目を上下になでつける。
中に収まる熱が硬さを持つようにすりすりと撫でているだけで、おなかの奥がとくんと熱を持つ。
ヴィーくんやバートと違って、大人であるダニエルさんのソレはボクの中をいっぱいに満たしてくれる。少し、息苦しいほど。こと性行為に限っていうと、気持ちがいいよりも苦しいぐらいが丁度いい。いいことばかりではいけない行いだと思うから。面倒で、手間がかかって、気持ちがいいけれど息苦しい。営みを産まない他人を伴う排泄行為なんて、そのくらいでなければならない。
「寝ていていいですよ。終わらせておきますから」
「そういうわけにも……」
「いいんですよ」
はあ、と熱い吐息が漏れる。
もう体が熱くて熱くて、止まりそうにない。いますぐもっと熱くて、かたいものが奥にほしい。
埋めてほしい。
息が止まるほど、満たしてほしい。
そうでないと、頭の中がうるさくて気が狂ってしまいそう。
「キス、しちゃいましたね」
荒れているなあ、と浮かんだ色気のない感想は飲み込んで、くぐもった表情を浮かべているダニエルさんの頬を優しく撫でる。あとで軟膏を処方しておかないと。
そのままダニエルさんの体をなぞって、下腹部まで辿り着くと熱を取り出し、中へと招く。
「おいっ……」
「大丈夫ですって……誰がこの薬作ったと思ってるんです?余計なこと、は……っかんがえ、ない、で」
ぐぷぷ……と空気がわずかな隙から逃れようとはしたない音を立てる。
ただ薬を飲むだけで都合よい部分が弛緩して、ただ薬を飲むだけで気分が盛り上がって、ただ薬を飲むだけで前戯の手間と時間を削減できる。その面でこの薬はちゃんと効果が出ているなあと、ぞくぞくと肌が粟立つ感覚にもだえながら考える。
唇を必死で閉じるけれど、その合間から荒い息があとからあとから湧き出して、自然と腰が揺れた。
「は……っ、あ……っぁ」
他人の体を好き勝手に使用した自慰行為は、その罪悪感にさえ目を瞑れば本当に気持ちがよいものだ。
自分の体がどうなることを望んでいるのかをよく知っているのは自分なのだから、他人に触れられるよりも好き勝手動いたほうが気持ちがいい。そのぐらいの身勝手で、暴力的な行いはなんてはしたなくて、気持ちが悪くて、快楽を産むのだろうか。
まあ、根底にある欲なんてものはどんなものであれ生まれる物質は同じなのだ。食も、暴力も、性も、生み出される物質の違いでしかない。
「はあ……ボク、ダニエルさんのこれ好きなんです……」
「……反応に困ることを言うな」
「ふふ。困っちゃいますよね、そんなこと言われても」
肉と肉がぶつかる音を立てて、自分の好きなところを擦って。
ぐちゅ、と湿った水音と太股をなにかの液が伝っていくのを感じながら、きゅう、と熱を締める。びくびくと脈動するその熱が、たまらなく愛おしい。
「ね、知ってます? 考えることって。多ければ多いほどね、暴れて、壊して、まっさらにしてしまいたくなるんですよ、ね」
大切に大切に集めたコレクションをプレス機の下に丁寧に一枚一枚置いていくような。
絶対に手放したくないものを抱えたまま、ショッピングモールの吹き抜けに立ったときのような。
砕けた硝子片で肌を撫でたときの感覚は、疲労をぞわぞわと癒やしてくれる。
不快と不快を重ねたら快になるかのような。恐怖と、諦めと、迎合。
「んっ……う、ぅん……あ、っ……はぁ」
少し疲れたら上に跨がったままダニエルさんの手をとって、胸元へ招く。
ためらいがちな指が、次第にあきらめたように肌を撫で、気持ちが良くなるように触れてくれる。
「あっ、ん……っは、ぁっ、ぁ」
その状態で跳ねれば、胸の先を指の腹がこすって、はじいて。ぴんっと鋭い快楽がもたらされる。
またたくような刺激がまた欲しくなって腰を上げると、ぐ、と引き戻され、奥に熱が打ち付けられた。
「んぁぁっ……!あ、あっ、それ、もっと、もっとくださ……っあ、ああっ、は……あ、っ……!」
喉の奥から搾ったような醜い声が混ざる。
こんな声も、恥ずかしいことも、気持ちがいいことも嫌いだ。
嫌いで嫌いで、だからこそ欲しくなる。
「あっ。あ。あ……、…… ぅ ぁ。 っん……んん~~っ……」
ぐうう、と腹の奥から上るような快楽が潰れるように弾け、足の先までじいんと余韻が響く。
急速に引いていく熱に、湿った吐息を漏らすと体がひっくり返された。
やっぱりダニエルさんは気遣いの出来る人だなぁ。伊達にこの組織で一番手のかかる人の相棒をしていないだけあるなぁと考えながら、やっぱりどこか冷静さを残せてしまうこの薬はまだまだ改良が必要かと思い直す。
覆い被さるダニエルさんの首に腕を回して、ぎゅっと甘えるように身を寄せて目を閉じた。
……………………
…………
「……あれ。朝……?」
ちゅんちゅんと、気の抜けた鳥の声がして目を覚ます。
窓のない部屋は時間の移ろいがわかりづらいので、時間帯に合わせて環境音を流しているのだが時計を見ると十時を過ぎていた。
ぼんやりとした頭で、清潔なパジャマとベッドに目を向ける。
あれから二回は達した記憶があるが、そこで意識を落としたように思う。おそらく……というか、ダニエルさんが清掃や後処理をしてくれたに違いない。よくよく見れば、部屋のゴミもまとめてくれたらしい。机の上を見れば、出来上がっていた分の資料だけ無くなっていた。
ボクと同じぐらいには忙しくて休みのない人だろうに、こういった気遣いがさらに彼を忙しくさせているのだろうなぁと思いながら昨日の試薬のレポートを書き込んでいく。
次は疲労回復用の栄養剤でも作ってあげようと考えながら。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ちょっとだけあとがきをするんじゃ。
シャルくん、えっちなこと嫌いっていう割に乗り気だよなぁ。
えっちなシャルくんは可愛いし似合うし、でも嫌い感じは嘘というか建前じゃなさそうなんだよなーうーん。
知り合いとするのは好きなのかな…それもあるかな…自分が受けの時も攻め攻めな気持ちのときは乗り気なんだよな…と色々考えながら書いているうちに、あーでもシャルくんやダニエルくんは自棄の気持ちな時に性欲爆発しそうな気もするなぁ…と思っていたら気付けばこうなってました。
ほんとはいきなりどどんとステーキみたいなえっっな話を書くつもりだったんですけど、力及ばず。また今度リベンジします。