【お知らせ】6/1 コミティアの新刊について(ボスクリ本) 6/25 通販について追記

・6/25 追記

したださんのBOOTHで通販開始しています!

ぜひお手にとっていただければ~!!したださんの新刊もはっちゃめっちゃにかわいいので…!ぜひ…!!

 https://shitadango.booth.pm/ 

 最近全然更新出来てなくてスイマセン…。

資格試験があって、それ以降は上半期の締めとか色々仕事であって疲れ切っててゲームばっかしてました…(死んだ目)

徐々に物書きしていきたいので、もう少々おまちいただけるととっても助かります… 

--------------------------------------
 2025/6/1(日)のコミティア152に、したださんと参加します。

【て-56a】 おやつ日和

 です。

 

ねじまき側の今回の新刊は、ボス(レグナム)×クリス の小説本 R18です。

フローライトカクテルに浮かぶ月

188P/文庫サイズ 800円

 


いっぱい書いちまいましたのでなんだか分厚いことになりましたが、うっすい本文用紙を選んだので、三センチぐらいは背幅抑えられました。

中身はパロディ一話含んで、全四話です。

したださんがキャラ紹介とむっちゃ雰囲気のいい一枚絵を描いてくださったので、ぜひぜひ見ていただきたいです!!

表紙よすぎません?????恰好よすぎていただいた時には末期の虫のごとくひっくり返って四肢をわなわなさせることしかできませんでした。うっかり死ぬところでした。今回もそんな思いの丈をAI対策で焼きこみましたんで、ぜひぜひぜひお手にとって実物の表紙をご堪能いただけますと幸いです。

 

通販はまた、イベント後にしたださんのBOOTHで取り扱っていただくことになると思います。

 

 ここから先は本文サンプルです。

サイトの都合上、横書きで掲載するので画像で見たい方はお手数ですが私のTwitterという名のXを見ていただければと思います。 (tictak_meme)

 

--------------------------------------------------


ある日、悪の組織のボスは言いました。
「仕事を依頼したいのだが」
 ある日のクリスはこう返しました。
「お断りします」
 これはある日に始まった、あるお仕事の話。


その日、クリスは依頼された暗号の解読に勤しんでいた。暗号、とはいってもある国の軍事機密だとか、謎の組織が使っている、だとかそんなご大層なものではない。とある個人が趣味で作った謎である。
『若造、暇があるなら儂の趣味にも付き合おうてくれんか』
赤いベレー帽にまあるい鼻。人のよい笑顔で恰幅のいい腹を揺らしながら笑っている彼を、ヴィダはサンタクロースのようなおじいさんと称していた。彼とは隣町の美術館のカフェで知り合った。
 そのおじいさんは謎解きを作るのが趣味なのだが、難易度が高いのか誰も謎を解いてくれないのが常々悩みの種だった。昨夜出来上がった会心の出来の謎だって、朝から挑戦者を探して回ったが、残念ながら誰にも挑んでもらえずじまい。傷心の彼が気晴らしに美術館を訪れたところ、同じくだまし絵の展覧会に来ていたクリスとヴィダに出会った。
 おじいさんがカフェで休憩しながら次の謎を考えているとき、ちょうど二人がカフェに入ってきて近くの席に腰掛けた。二人は目の錯覚を利用したトリックを用いた小説について話したり、最近受けた知恵の輪の依頼だとか、仕掛け箱の解き方について楽しそうに会話をしていて、彼らならば自分の考えた謎解きに挑んでもらえるのでは!と声をかけたのである。
……世の中、思いのほか会話が聞かれていることがあるものだ。こうして気軽な調子で話した社内機密だとかが漏れていくのだろうなあとクリスは頭の隅で考えつつ(つい先日そうやって浮気調査をしていたので)おじいさんから謎解きを請け負い、見事解いてみせた。そのときのおじいさんの喜びようときたら。あまりのはしゃぎっぷりに、クリスも嬉しくなる。仕事を請け負ってよかったと、心から思える仕事だった。
 それからというもの、おじいさんは謎を作る度にクリスの元へ依頼として持ち込み、クリスもお小遣い程度の金額で請け負っていた。
 今日という日も、『今回の謎は難しいぞ!』とはしゃいでやってきたおじいさんが買ってきてくれたケーキをつまみながら受け取った謎に取り組んでいるのだが、なるほど確かに今までで一番難しい。眺める角度を変えたり、文字を虫眼鏡で拡大して細工がないか見てみたり、用紙を光に透かして隠し文字がないかと見てみるが、いかんせん謎を解く為のとっかかりが見つからない。
四苦八苦しているクリスにいつ声をかけたものかと様子を見ていたヴィダだが、ここいらが頃合いかと声をかけた。この調子ではあと二日はかかるだろう。
「苦戦しているとこ悪いけど、ボスがあんたに用だって」
「ええー……それ僕じゃなきゃ」
 ダメなのか、と言おうとして横に首を振る。あの人が関わるからとつい反射的に悪態を吐いたが、それではヴィダを困らせるだけだ。
「ダメ、なんだろうなぁ。じゃなきゃあの人来ないもんね……?」
 ちらりとヴィダの様子を伺うと、彼はうんうんと頷いている。クリスは小さくため息を吐き、軽く伸びをした。
「いつ来るの?」
「もう来ると思うよ。いつもアポ無しで来るのに、わざわざ連絡入れてくるってことは余計な人が来ないようにって言ってるんだと思うから」
 言いながら天井を指さすヴィダにクリスもああ、と頷く。どんな用向きかはわからないが、ヴィダの言う通り、ろくな用件ではなさそうだ。少し前にはカルト教団の対応をするように拉致されたし、その前はなんだったか。デスクに溜まっていた書類の整理も手伝ったし、シャルロットの書いた論文の添削もした。誤字脱字チェックは他人が行ったほうが効率がよいし、クリスとしても知らない技術を見る機会があるのは望ましいことなので喜んで引き受けた。そうやって振り返ってみると、なんだかんだ組織の仕事を引き受けているなあと思う。それ自体を嫌だとは考えていない。ましてや、悪事に手を染めてしまったと悲観しているわけではない。ただの感想だ。
 なにせクリスからしても、金銭と仕事まわりは下手を打つと国に自身の生存があきらかになってしまう為、ヴィダ経由で組織に都合つけてもらっている。その恩返し、というわけでもないが、世話になっている以上、彼らの仕事を引き受けたくないとは言えないし、実際嫌ではない。
彼らは確かに、世間一般からみれば悪い組織なのであろうが、世の中には純度100%の善意で周囲を傷つけてまわるような組織もいっぱいあるので、クリスは彼らだけが悪い存在だとも思わないし、かといって良い組織なのだと肯定もしない。ここでいうクリスの懸念はただ一つで、彼らの仕事を手伝い続けることでやがて彼らの組織に正式に所属することになった場合、敷かれたレールの上を爆走しているようでなんかやだなという、ただそれだけの懸念であり、彼個人の気分的な問題だった。なんかやだな。ただその一言でありそれだけの問題だった。
 そんな個人的に抱いた嫌な気分に沈んでいると、ひととおり様子を見ていたヴィダが声をかける。
「……ねえ、ボスのこと。嫌い?」
「嫌いかなぁ」
「そっか。あんたでも他人のこと嫌いになることあるんだね。めんどくさいおっさん相手でもへらへら笑ってんのに、ボスのことは嫌いなんだ?」
目を細め、言葉尻をわざと上げて返すヴィダにクリスはうーんと腕を組み、首を傾げる。
「嫌いだねえ。面倒くさい人のことは面倒くさいなって思ったり、嫌だなって思うけどそれ以上はないかな。もう関わらないし」
「でもボスのことは?」
「面倒くさいし関わりたくなくても関わってくるし、関わらせてくるし、嫌い」
「ふーん。なのに電話はするし、会話にも付き合ってるの?」
「あのひと寂しがり屋だからさ。他に友達できるまでは付き合うよ」
「ふうん」
 クリスがレグナムに抱く『嫌い』は同族嫌悪のそれだ。言葉通りの嫌いではないことはヴィダだってわかっているし、クリス自身も理解している。その上で敢えて嫌いという言葉を使い続けている。
「それにヴィーくんはあのひとのこと、尊敬してるでしょ?」
「うん。自慢」