【R18】不眠の羊は夜に溺れるか(ボスクリ)

ボスクリのこと考えると、どうにもならねえ感情に脳が焼かれるんであんまり考えたくないんですよね。皆さんにもそうなってもらえたら嬉しい。焼かれてくれ。

 ということで、大人たちのお話です。

クリスくんは夢見がちだし理想は掲げるし、言ってることは壮大でありながらその実、めちゃくちゃ現実主義です。なので、頭ではいつまでもこんな毎日が続くことはないと誰より真剣に考えていて、まっすぐ向き合ってますが何ぶん天然素材のキザなのでメイド三人組がいるときはそんな素振りをかけらも見せません。

ボスに対してはその辺隠す必要もないし、悪態を好き放題ついていいと思ってるのでそういう面ではクリスくんからしても気楽な相手でもあります。

えろげ作ってバッド(バッド?)エンドの一つとしてルート書きたいですねえ

 

 

 

えっちい話なので、もう少しスクロールお願い致します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 聞こえるのは風と波の砕ける音。
見えるのは空とも海ともつかない、まだらになった薄鼠色が遠くで混ざる姿。
人気の無い、昼下がりの海辺でクリスはただただ其処にある音を聞き、其処にあるものを目に映す。時折、犬の散歩やふらりと立ち寄る人もいたが、誰も立ち止まることはなく、座るクリスに目を留めるでもなく、流れるように立ち去っていく。季節外れの海を訪れ留まるものは摩耗した硝子ぐらいのもので、人々は冷えた風を受ければ追われるように街へと向かう。
どれほどそうしていただろうか。
日が暮れて、いよいよ人の姿が見えなくなった頃に声がかかる。
「なにものでもない時間は楽しいかい?」
「たった今最悪なものになりましたよ」
目線を向けるまでもなく、声の主が誰かは理解できた。
声や存在感でもわかるが、何より今こうしている時に声をかけてくる人物なんて一人しか心当たりがない。なにせ、ヴィダ達三人は仕事で不在なのだ。だからこそクリスは一人で海へとやってきたのだし、こうして物思いに耽っていたのだ。彼らの誰か一人でも近くにいる可能性があれば、クリスはこんな行いに耽ることはないし、たとえばの話、彼らであれば今のクリスに声をかけてこないだろう。
「来なさい。ここは冷える」
「…………」
視線を伏せる程度に逡巡し、腰を上げるとおとなしく従う。いつもであればどうにかして反抗するのだが、今日はそんな気分でもなかった。何より、彼に割くほど脳内にリソースがない。
海岸沿いに止まった車を見て、視線を向けると助手席に座るよう促される。今日は一人で運転してきたらしく、護衛はいないらしい。少し前までは意地でも後部座席に座っていたのだが、一度それで酷い目にあってからは言われた通りに従っている。
シートベルトを締め、走り出す車の行き先も聞かずにぼんやりとした視線を道路の先へと向け、会話らしい会話もなく車は海を離れ、市街地を目指す。
「……ヴィーくんのこと、考えてて」
「だろうな」
「こういう時でもないと、考えたくないんですよ。楽しくないので」
トンネルに入り、オレンジの光が浮かない表情を浮かび上がらせる。
嘲笑しているような、己の思考を吐き捨てるようなクリスの表情をレグナムは横目に捉え、視線を前に戻す。
「ヴィーくんは、あなたの元に戻ると思うんですよね。最後には。おそらくヴィーくんは、それが一番自分にとって幸せだということを知っている」
クリスの言葉に返す声はなく、車の低いエンジン音だけが車内に響く。
彼自身、なにか言葉を返してほしいとは思っていない。だからレグナムも何も返さずにただ車を走らせた。
やがて地下駐車場へと入って車を止めると、クリスを伴ってとある路地裏にある店に入る。入り口は非常にわかり辛く、一見すると店があるようには見えない。店の中に入れば恭しい態度で控える黒服が、無機質な壁に囲まれた通路を案内する。彼らの足下には毛足の長い絨毯が敷かれ、各室内からは一切の声が外へと漏れない作りになっていた。
どうぞ、と案内された一室は、レグナム好みの調度品の少ない室内であり、丁寧に折りたたまれたナプキンだけがテーブルに置かれていた。
「ここは私の行きつけの店の一つでね」
「へえ、そうなんですか」
二人が椅子へ腰を下ろすと、ちょうどいいと感じるタイミングでグラスとワインが運ばれてきた。黒服は二人分のワインを注ぎ、静かに退室する。注がれている最中にボトルのラベルを見、クリスは確かにレグナムは此処によく通うのだろうなと思う。静かにグラスを掲げると、一気に飲んだ。
「……珍しいね。飲みたい気分なのかい」
「溺れるぐらいには。海行ってたんで」
「海ほどはさすがに用意がないと思うがね」
苦笑し、前菜を運んできた黒服にボトルを置いておくように伝える。
「幾つか種類も頼むよ」
「畏まりました」
バケツにたっぷりの氷と三本の酒瓶が室内に運ばれ、レグナムはその中からもっとも度の高いものをクリスのグラスへ注ぐ。
「まあ好きに飲み、好きに食べるがいい。朝からなにも食べていないようだしね」
「はい。好きにします」
暴飲を行うような場ではないことを承知でクリスは頷き、再びグラスを傾けてから前菜に手を伸ばす。
口に運べばワインの味と複雑に混ざり、さわやかな香りが鼻を抜けていく。適当に見えて、文字通り適当に酒を選び注いできたのだろう。
二人の間に会話はなく、クリスがグラスを空ければレグナムが酒を注ぎ、次の皿が運ばれてくればもくもくと口に運んでいく。丁寧に順序よく、整然と並ぶ食事にある種の懐かしさを覚えながら食べ進め、メインに差し掛かった頃にようやくクリスの方から口を開いた。
「いっぱい飲みました」
「そうだね、ずいぶんと飲んだものだ。君はあまり酒を嗜まないと思っていたが」
「普段は飲まないですよ。好きでも嫌いでもないですけど」
顔は赤く、言葉尻に風船を結んだような口調ではあったがまだ潰れるには遠い。しかし彼の摂取したアルコール量は相当なもので、普段のクリスからは想像もつかない量を飲んでいる。
「いっぱい飲んだんで、酔ってます」
「どうだかね」
「酔ってますよ。あなたと話しをしようと思いますもん。らしくないことしようって、おもえます」
らしくない、という言葉に目線を向けるとへにゃりとした笑みを浮かべるクリス。見るだけならばいつもの気が抜けたような表情にしか見えないそれは、『いつもの自分』を意識的に浮かべているのだと気がついた。
「最適が何か、なんてとっくの昔に考えついていて。その最適の為に選ぶ道がいくつかあって。そのうちのいくつかは選んじゃいけないんですよ」
空いたグラスに、手ずからワインをなみなみと注ぐ。
それをまた一気に煽り、腹の底に落としてからクリスは言葉を続ける。
「ヴィーくんは自分のことを、どうせ自分は悪い人間だからって考えてるんで。同じ選択肢を持つ人たちの中に戻るしかないって思ってます。たくさん楽しいことをして、普通にみえる暮らしをしたとしても、それを日常にはしない。できない。そしてその考えは、間違いではない」
そこで言葉を止めたクリスを見て、レグナムはその言葉はクリス自身にも当てはまることに気がついているのかと指摘するか考え、やめる。
気がついているのだろうとはおもうし、気がついていないにしてもそれは彼が自らの自意識に価値を見い出さないという思想を抱いているから、というだけの話だ。常に誰かに理想を押しつけられ、理想を体現し、都合のいい存在であることが存在理由であったクリスの築いた思想は強固なもので、口にしたところで揺らぐようなものではない。
「だから、僕もヴィーくんの意志は尊重したいんです。っていうか、ヴィーくんが拾った命なんで何を選んでも文句言える立場じゃ元々ないんですけどね。そんなこといったら、ぜったい、怒られちゃうから言わないんですけど。で、そうなると……ゴールは決まってるじゃないですか。問題はいつ、どうゴールに持って行くか。それだけです」
「下手打てば、あのこは自分の望まない結末だとしても選ぶからか?」
「はい。そうです。だから悩むんです。悩んで、考えていたんです」
「結論は?」
沈黙。
その反応を見て、確かにらしくないなと思う。
酒を飲んでいるから、酒の所為ということにしているからか。いずれにせよ、レグナムの問いかけに対してクリスが沈黙を選ぶことはあり得ないとすら思うほどにらしくないことだった。
テーブルにはデザートが運ばれ、レグナムは黒服に言伝を頼みつつ会計も済ませる。
運ばれてきた林檎型のチョコレートを割りながら、クリスはややあと言葉を発した。
「……あと二週間は帰ってきませんから、もう少し悩みます。悩むことを、楽しみます」
「楽しみたいのであれば、近場で悩むことを勧めるよ」
「そうですね。またあなたに拾われても面倒ですので」
「自宅への無料送迎だとでも思えばいいと思うがね」
チョコレートの中に収まっていた、煮詰まったくたくたの林檎を口に運びながらレグナムが言うと、ふいにクリスが視線を向けてくる。
「今日は……帰るの面倒くさいので、どっかに泊めてください」
「――へえ。珍しいこともあるものだ」
「言ったでしょう。いっぱい飲んだんですよ今日は。面倒にも、なるじゃないですか」
いいながら、クリスはデザートを流し込むようにグラスを傾けた。
それきり沈黙した彼に、レグナムも食事を終えると席を立つ。結構な量を飲んでいると思ったが、クリスの足取りにふらつきはなく支えは必要ないように見えた。
車へ戻ると、黒服からの連絡を受けた護衛が控えており、恭しく礼をすると後部座席を開ける。レグナムはクリスと共に後部座席へ座るが、彼は特に文句をいうこともなくぼうっと窓を見ていた。
後部座席の戸を閉め、運転席へ着いた護衛に目的地を伝えると静かに車は発進する。
自分の隣に座っていながら、クリスが悪態をついてこないだなんて本当にめずらしいこともあるものだ、とレグナムが考えていると高い体温が肩に触れた。眠いのか、寄りかかり瞼を閉じているクリスに顔を近づけてみてもやはり文句が飛んでこない。
薄い唇の隙間からはアルコールの濃い香りを伴った息が漏れていて、それを塞ぐように唇を重ねてみる。
「ん……んぅ……」
舌を差し入れ、歯列をなぞってやるとクリスの体が小さく跳ねた。
はじめて舌を入れたときは噛みつかれたなぁ。そのあと噛み返してやったらひどく怯えられたっけと思い返しつつ、舌先を吸えば名残り惜しげにクリスの舌先が唇に触れてくる。ちょっとだけ驚いて、その驚きが伝わらないように彼の唇を塞ぐ。
「ふ…………っぅ、…ぁ……ん。ん…」
与えた快楽に素直に声を漏らし、体で反応を示す。
趣味でクリスの体を暴いたことは何度もあるがその多くは乱暴なものであったし、彼を如何に辱めてなかせるかばかりを考えていて、クリスもそれに抗って意地でも声をあげてやるものか従うものかと反抗するものだから、二人の間柄は憎みこそすれ、決して恋仲とは呼べないものだった。
レグナムがクリスに興味を持ち、反抗するから愉快な心地になって尚のこと彼にちょっかいをかける。肉体関係はあくまでその延長線に過ぎず、殊更クリスが嫌がるから手をかけていたに他ならない。
故に、どこかで考えていた。
もし仮に、クリスが自分を受け入れるようなことがあれば冷めるのだろうと。
手に入らないから、言うことを聞かないから、思い通りにならないからこそ彼に価値があるのであって、その価値を手放すようなことがあればそれっきりなのだと、確信めいた思いを抱いていた。
「は……ふ……」
唇を離し、上気したクリスの表情を見詰める。その瞳にも態度にもレグナムへの嫌悪を認められない。ただあるがまま、もたらされるものを受け入れようとしている。そしてその姿には、一つだけ。これまでクリスがレグナムに向けたことのない恐れを抱いていることが確かに認められた。
とん、と突き飛ばせば簡単に体勢を崩す。
弱った人間なんてこんなものだ。
如何に精神性が常人と違ったとして、結局はこうなるのかとクリスを見やれば、彼はどこか安心したような諦観の表情を浮かべる。その表情を見て、彼が自分にはじめて向けた恐れがどんな類のものなのかを理解して。どうしようもなく愉快な思いを抱いた。
「うぁ……」
首筋に唇を寄せ、痕が残るほど噛みつく。
痛みからか、クリスがレグナムの服を強く握るのを感じながら、シャツを乱し、鎖骨から胸元へ唇を落とす。酒に蝕まれた体は熱く、薔薇色に色づいていた。
「ずいぶんしおらしいじゃないか」
「言った、じゃないですか……らしくないことするって」
つまらないでしょ、と薄く笑ってみせるクリスに返すことはせず、彼のズボンをくつろげ、熱に触れる。レグナムの手のなかで怯えたようにふるえるそれをあやすように撫で、クリスの浮かべる表情、反応をつぶさに観察する。
「はっ……あっ…あ…!」
瞼は閉じたまま、強い刺激にはかたく瞑って。
唇は絶えず薄く開き、吐息とあまったるい声が車内の熱を上げる。
上がった熱が彼の体温を上げ、身につけている香水の奥底にあるこれまた甘い香りを浮かび上がらせる。
「く、ぅ……ぅぅ……ッ」
びくびくと全身の震えが激しさを増し、服を握る力がますます強くなって。熱の先端、むせび泣く箇所をひっかいてやれば、声もなく果てた。
「ん……っ……」
身体を弛緩させながらも震わせるクリスに、唇を寄せる。小さく口付ければ、背に腕を回された。
きゅう、と。小さくふるえながらも抱きつかれて。レグナムは内心でこの体勢でよかったと思う。どうにも慣れないことばかりが続いていて、一つ感情と思考を整理し終えたと思ったら次の処理しきれない感情に見舞われる。消化できないながらに、それでもひとつ、結論を出してみる。どうやら、自分が抱いていたクリスをほしいと思う感情は想定していたほど浅くはない。察するに酔いが醒める頃には彼のいう、「らしくないことタイム」は終わるのだろう。さて、それまでどう接したものか。
考えているうちにクリスは眠ってしまったらしい。
控えめな寝息が耳に入り、距離を取ろうとするも背に回された腕がゆるりとほどけ、かわりに衣服を掴むともたれかかるようにして眠りにつく。
ここまで警戒心を持たれない経験もなく、眠るクリスの頬を突いてみる。
指先一つ向けられるだけで前で運転し続けている護衛などは表情を固くして死を覚悟したような面持ちになるというのに、どうしてこうも自分を前にして素でいられるのだろうか。
ふと、ヴィダからクリスの評価を聞いた日のことを思い出す。彼は確か、ああ言っていたっけ。
「とことんヘンなやつ」
「んんー……」
ヴィダの物言いを思い出しながら、強めに頬を突くとむずがるように眉を寄せ、再びかくんと眠りに落ちていく。なるほど、面白いという感覚は何にも勝る体験なのかもしれないと彼らの選んだ人生に一定の評価をしながら、車が自宅の敷地につくまで漫然と思考を浮かんでは沈めていた。
「着きましたが……クリスさんは如何いたしますか?」
「どうにも離してくれないのでね。自分で運ぶさ」
「畏まりました。では、私はこれで」
寝こけたままのクリスを背負い、バスルームまで運ぶ。
そのままシャワーをひねって顔にかければ、「わぷっ」と声を上げて目を覚ました。
「酔いは醒めたかな」
「つ、つめたいつめたい!シャワーならちゃんと浴びますから!」
「へえ。じゃあ服は脱がないとね」
言いながら体にも水をかけると、睨みながらも服を脱ぎだした。
内心、本当に脱ぐのかと驚きながら見ていると、「なに見てるんですか」と改めて睨まれた。
「一人で脱いでるの恥ずかしいんですけど」
「だろうね」
「なに言いたいかわからないんです?わっ」
シャワーヘッドを上に設置し、湯が降り注ぐなか濡れるのも構わずに顔を寄せる。
「服……脱がないんです、か……!」
「ここまで濡れたら後でも構わないだろう」
「僕だけ……脱ぎ、損っ……」
彼の背面に腕を回し、入り口に指を沈める。
乾いていたそこに、無理に指を押し入れるとぎゅう、と背に回った手に力がこもる。
「あっ……!ぃ…っ……」
「前にした時ぶりか?」
「あなた以外に、僕に興味持つ人いませんし……」
「どうだか」
本心から出た言葉だが、クリスはさして気に留めないだろう。
シャワーから流れる水を使いながら指を動かすと、ぴくんと身体を跳ねさせる。
「んっ……んん……!」
膝を足の間に入れ、力が抜けて崩れそうになる身体を支えるようにしてやりながら、ついでにクリス自身を刺激していくと、ゆるやかに固さを持ち始めた。
それでもまだ足りないか、と入り口を確かめると、一度シャワーを止め、クリスの落とした服を回収しがてら部屋に戻る。
目当てのものを見つけると、自分も邪魔な服を落としてバスルームへ戻った。おとなしく待っているのだろうかと見てみると、ぽんやりとした表情を浮かべて壁にもたれていた。
「少し拍子抜けするね」
「あなたが気に入らないだろうなぁって態度ですよ」
「そう思ってしているのなら、気に入るとは思わないのかな」
手にしたボトルから粘度の高い液体を腰から臀部にかける。
場違いに甘ったるい香りが立ち上り、ちょっと匂いが強すぎないかと思いながらもクリスの内部へと塗り込んでいく。
「すんごいにおいですけど……なんですかこれ……」
「シャルロットの新しい発明品だよ。消毒も出来るんだとさ。しかしこれは匂いが強すぎるね……君の反応と共に伝えておくよ」
「匿名ですよね?」
「どちらがいい?」
「名前伝えたらもう本当に二度と一生口聞きませんから」
「はいはい」
内部にしっかりと塗り込み、ついでにと思ってクリスの好きそうな場所へも触れていく。
ひんやりとぬるつく感覚に医学的処置を受けているような気持ちになっているのか、されるがままになっているクリスだったが、次第に様子に変化が見られる。
「これ……って、消毒だけじゃ、ない……?」
「そんなもの作ってどうする。うちは救命組織ではないぞ?」
「そう、です……けどっ……」
おもむろにシャワーをひねってやると、みずみずしい嬌声が上がった。その反応をもっと見たくて、彼の体を勢いよく貫くことにした。
「な、っにするんです、か……っあ、ちょ、……んあ……っんんんんーっ…!」
「そのうち流れるさ」
「はっはっ、ぁ、ぁぁ……っや……やだっ……」
奥まで挿入した衝撃で達した身体が、刺激から逃げようとレグナムの肩を押し返す。それを逃げないようにと腰を掴み、ぐりぐりと押すように動かしてやれば気持ちよさそうな声があがる。
「あっ……ああう……少し、待って…くださ……っぁ……ぅ、く……ッ」
「待ったところで楽にはさせないけれどね」
「そういう人、ですよねっ……!んっ……は……ぁ、ぁ……」
多少は酔いが醒めたのか、悪態をつきつつ、あがる嬌声を押さえようという試みが見られるが殺しきれていない。それ以上に全身を快楽に苛まれ、突き放す物言いながら身体はレグナムの方へ突き出すような動きに自然となってしまっていた。
「みだらだね」
「っ……!あっく……ッぅ、ぅぅ……!」
「我慢したって身体に毒だよ。ほら、良い子だろう?君は」
「あっうあっ、あ、あぁっ……や、やめっ……!やだやだやだやだ……ッ~~~~っ」
きゅう、と全身に力を込め、レグナムにしがみついて達するクリスに唇を開くよう促す。
素直に開いたそこへ吸い付けば、あまえたような声があがった。
ううん。毒だな。
「……風邪引くな、ここじゃ」
「すん、ごい。いまさら……うあ」
する、と熱が抜かれると、どろりと太ももに熱が流れ落ちてくる。
レグナムが達する時はいつもわかりづらい、とクリスは思う。気がつくと中に出されていることが多く、自分がそれだけ必死なのかとも考え込むこともあったが、何度かするうちにレグナムの感情が読み取りにくいにも程があることが原因だと気がついた。
そんなに興奮しているようにはとても見えず、いつだって遊びの延長で抱いているのに、いざ出されると結構な量になっていることが多くて、それを実感する度になんとも複雑な感情に陥るのだ。
ちらりと見ると、彼の熱はまったく平常通り。確かに自分の中に出したのがわかってしまって、口をもにょもにょと波打たせた。
「ほら、来なさい」
「……すぐ行きますけど……」
シャワーを取り、簡単に自分と床を流してからレグナムの元へ向かい、大きめのバスタオルを受け取る。
髪と身体を適当に拭きながら後を追いかけると、嫌が応にも見慣れた広いベッドにレグナムが腰掛けていた。バスローブ姿で。
「……一人だけ服着て、ずるくないですか」
「寒いからね」
ふう、とため息を吐くレグナムに近寄ると、クリスはしばし考える素振りを見せてから彼に腕を回し、額に口づけてみせ、そのままじっと視線を合わせる。
双方互いに言葉はかけず、それが礼儀だとでもいうかのように寝台へ沈み込む。レグナムはあらわになったままのクリスの胸の先端に吸いついて、萎えていた彼自身をしごけばたやすく熱を取り戻しはじめた。
「っん……ぅ……」
「君が望むのは、暇のない快楽だろう?」
「はっ……っくぅ……!…んんっ、……!」
割り入られる感覚に背を反らし、逃れるようにシーツを握る。
半うつぶせのような体勢になったところで、腰を掴まれ後ろを向かされた。
「あっ、んんっ!あっ、あっ、っ……!」
軽く流したくらいでは中に溜まっていた薬剤は抜けていないのか、奥に入られる度にじゅん、とした快楽が響く。肉と肉のぶつかる音が立ち、背後から抱きしめられるような距離で中を擦られるとなきそうな程に気持ちがいい。
「はっ、あ、あぁぅ……ッ……んん、んんっ、……は、あ、ぁ……」
「そんなに気持ちがいいのか?声を出すことなんて、滅多にないのに」
「みみ、舐め、ないでっ……!いま、いまだめ……っ」
「いいから、言いなさい。言えるだろう」
唇を親指で割ってやれば、前歯でかるく噛まれる。
ささやかな復讐のつもりなのだろう、そのまま口内を擦ってやれば吐息が指先を擽った。
「は……ぁっ……べつ、に……っ……今日、だけのことじゃ、な、っ……」
口内を指が擦りながらなので、ふにゃりと潰れた言葉で特大の仕返しを送られたレグナムは、返すように彼の奥を突く。
そのまま口内から指を抜き、しめったその手で彼の胸の先端をくるりと擦った。
「あっあぁぁ……ゃ……っぁっ……あっ……」
はー、はー、と長く息を吐きながら、なんとか刺激をやり過ごそうとするも強い刺激に全身がますます過敏になる。腹の奥がきゅうきゅうとときめいてしまって、はやく解放されたいのにまだ続けてほしいという相反する思いにクリスは苛まれる。
ああ本当に。この行為でもっとも優れていることは快楽を追うこと以外をしなくていいことだ。
「かんがえなくて、いいのは。楽で、いいですね」
言い残して、全身をふるわせて。
「っあ、あ、あ……っ!~~~っ……!」
つよくつよく、しがみつくように。すがるように中も締まって。
全身を使って息を吐いて、何度だってレグナムの熱を締め付けてくる。
抜いて、と声を上げるのに、抜こうとすればいやがるように腰が揺れて締めてすがってくるものだから、言葉でもみっともなく泣いて縋ってしまえばいいのに、と、レグナムは思う。
きっとそれでも、どうやら自分は受け入れて、ともすれば愛しく思ってしまうのだろうから。
何度か誘ったことがある。
レグナムの手を取って、諦めてしまえば楽になれると。
そのたびにクリスは嫌な顔を浮かべて絶対にお断りだと口にしていたけれど、その実それが最適で、最善の未来へたどり着ける可能性が高いことは理解している。
彼がヴィダと他二人の幸福を守ろうと思えばおもうほど彼が組織に囲われる未来にたどり着く可能性は高くなり、レグナムが何もせずともクリスがいずれその選択をすることは想像がつく。もしくは彼のことを知る人間に見つかってしまえば、ヴィダのほうから提案がある可能性だってあるのだ。
「うーん……」
疲れ果てて眠るクリスの顔を見ながら、レグナムは頬杖をつく。
あれから何度か、抱き潰すという表現がしっくり来るような抱き方を繰り返したものだから、最後には泣きそうな表情で達してからすとんと眠ってしまった。
かわいかったなあと思い起こしつつ、一番愉快なのは、彼が自分から望んで手に飛び込んでくることだとつい考えてしまう。
さて、次に目が覚める頃には彼のいう「酔いが完全に醒めた」状態で、その頃にはいつものすげない態度なのだろう。そしてどことなく思う。
おそらく。
おそらく、本当にクリスが自らの手に入ったとしても、これまでの態度とこれからの態度は変わらないのだろうと。
「どうしたものかね」
試しに、三人が帰ってくるまでの間は手元に置いてみようか。
背を伸ばしながら立ち上がり、水を取りに向かう。
戻りがてら部屋のキーを変更し、ついでに彼の服もクリーニングに出す用の袋に詰めてしまう。
あと一時間もしないうちに回収され、目覚めた頃には服がないと喚くのだろうなあと考え、愉快な心地を味わう。実際に耳にするのが楽しみだと思いながら、どんな服を買ってやるかなぁとも考える。
帰ってきた三人が目を丸くするほど格好いい服でも仕立ててやれば、少しは心持ちも軽くなるだろうから。
楽しみな目覚めに向け、レグナムはグラスをサイドテーブルに置くと、クリスを胸に抱くようにして眠りについた。